いよいよ確定申告の時期ですね。私は2015年に開業してから、在宅ワークで細々と仕事をしています。
開業当初からお世話になっている「マネーフォワードクラウド確定申告」の利用も早7年目になります。他のクラウド型会計ソフトとの違い、6年間使ったメリット・デメリットについて解説します。
目次
クラウド型会計ソフトを選んだ理由

フリーランスの多くは、一人きりで仕事をしている方も多いのではないでしょうか。特に収入が安定しない間は、営業、仕事の打ち合わせ、納品、在庫管理、経理までの仕事を一人でこなさなければなりません。
我が家はWindowsがなく、Macに対応した会計ソフトを探していました。収入もすずめの涙&育児で自由に時間がとれないため、とにかく安くて、自動記帳してくれるソフトがいいなぁ、と漠然と考えていました。
クラウド会計とインストール型会計ソフトの違いは、はっきり言えば「好み」の問題だと思います。価格はそこまで差がありません。もちろん、経理の経験がある方なら、慣れ親しんだインストール型のほうがやりやすいでしょう。
特別なこだわりがないのなら、個人的にはクラウド型を推します。なぜなら、税制改正で毎年ソフトを買い替える手間が省けるからです。
限られた時間の中で、効率よく仕事を回すためには、便利なツールを使うのもひとつの手です。自動連携が豊富なクラウド型会計ソフトなら、記帳の時間が短縮されるため、空いた時間を他の仕事に充てることもできますよ。
白色申告・青色申告両方に対応

法人は「クラウド会計」、個人事業主は「クラウド確定申告」を利用できます。
在宅ワークをはじめ、開業届を出せば個人事業主として、確定申告をする必要があります。さらに、青色申告の控除を受けるには、複式簿記で記帳することが条件です。
会計ソフトを使えば、以下の決算書類を簡単に作ることができます。
- 確定申告書B
- 収支内訳書(白色申告で必要)
- 所得税青色申告決算書(青色申告で必要)
毎月の記帳作業や決算整理をしておけば、必要な書類は自動で作成されます。
確定申告書Bに反映する基本情報(氏名や住所、所得の内訳、社会保険料控除、生命保険料控除など)などは、画面上で入力できます。項目ごとに解説が書かれていますし、売上金額は自動転記されますので、初心者の方でもわかりやすいと思います。

確定申告に必要な書類はPDFで出力できるので、印刷後にマイナンバーを手書きすれば、そのまま最寄りの税務署に郵送すればOKです。
ちなみに、確定申告が終わった翌年も「前年度の入力情報を本年に読み込む」ボタンをクリックすれば、一年前に入力した箇所を確認しながら、今年の入力箇所を編集することができます。これが意外に助かる便利機能なんですよね。
データ連携を活用すれば入力もれが防げる
銀行明細やクレジットカード明細の自動取り込みは、今ではもう当たり前の機能です。クラウド型の強みは、なんと言っても「データ連携先が多い」ことです。

連携先データは、支店ごと・カードごとに選択することができます。例えば、銀行の普通預金の明細だけを取り込んで、定期預金の明細は取り込まない、もしくは、クレジットカードの家族カードの明細は取り込まないなど、必要な明細だけを入手することができます。
Suicaと連携すれば、交通費の明細が自動仕訳されます。もしAmazonや楽天市場でのプライベートの明細が多い場合、業務用のクレジットカードの明細のみを取り込むという方法もアリです(私はこの方法で二重計上を防いでいます)。
売上データの入力もれや入力ミスが一番こわいですよね。私はランサーズやクラウドワークスで仕事を請け負っているので、売上の計上がクリックだけで終わり、とても助かっています。
自動仕訳では、人工知能・機械学習(AI)がビッグデータを元に、勘定科目を提案してくれます。そのため、勘定科目に不慣れな方でも安心です。

AIを活用した自動入力&自動仕訳は、使えば使うほど、賢く便利になります。提案された仕訳から自分が登録したデータは、次回から自動反映されますので、登録の手間もありません。
登録した自動仕訳は「自動仕訳ルール」で確認・編集が可能です。中には、自動取り込みされた明細から支払手数料で行を分割し、複数の勘定科目を使いたい場合もあるでしょう。そういうときは「複合ルール」に登録しておくと楽です。
メリットとデメリット
一番のメリットは価格面です。会計ソフトは、年間で1万円前後かかる場合がほとんどです。「マネーフォワードクラウド確定申告」では、どのプランでも見積書、納品書、請求書、領収書の作成もできます。会計ソフトと別に支払う必要がないので、お得と言えるでしょう。
駆けだしフリーランスの場合、事業が軌道に乗るまでは、初期投資などで赤字になることも珍しくありません。まだ取引先が少ない、経費もほとんどないといった人におすすめなのが「パーソナルミニ」プランです。
ただし、パーソナルミニでは、仕訳帳や総勘定元帳、現預金出納帳、補助元帳、残高試算表のCSV形式のエクスポートができません(PDFはダウンロード可)。CSV形式でバックアップを取りたい場合は、パーソナル、パーソナルプラスを申し込みましょう。

パーソナルミニの年額プランにすれば、9,600円(税抜)になります。月額プランより2,160円もお得になるので、仕訳数が多い方は年額プランがおすすめです。個人的にはパーソナルプランがおすすめです。何かあったときのバックアップ用、他の会計ソフトに乗り換えたいときに、CSVデータがエクスポートできるので。
メリットまとめ
- 入力画面が初心者でもわかりやすい設計
- 自動連携先が豊富
- 自動取り込みで入力もれや入力ミスが防げる
- ランサーズやクラウドワークスのデータ連携にも対応
- 他社確定申告ソフトから乗り換えに対応
- パソコンが急遽壊れても会計データは無事
- WindowsとMacの両方に対応
- iPhoneやiPad、Androidにも対応
- インストール型と違い、アップデートの手間がかからない
- スマホで確定申告ができるようになった(←New!!)
私は日商簿記2級を取得していますが、経理は未経験です。自動連携機能と自動仕訳機能のおかげで、「基礎知識はあるけれど、会計ソフトは初めて触る」という状態でも、なんとか確定申告を終わらせることができました。
さらに、2021年2月中旬からスマホひとつで、仕訳入力、確定申告書の作成、確定申告書の提出ができるようになる予定です。
スマホで電子申告をするには、事前にe-Taxの利用者識別番号・暗証番号の取得をしたうえで、マイナンバーカードとICカード読み取り対応のスマートフォンが必要です。給与所得者の医療費控除やふるさと納税の申告、副業分の申告もアプリを使って簡単に行えます。
デメリットまとめ
- e-Tax(Web版)に対応していない
- 株売買などの分離課税用の申告に未対応
- 損失申告に対応していない
残念ながら、「マネーフォワードクラウド確定申告」はe-Tax(Web版)に対応していません。パソコンにインストールするe-Taxソフト(Web版とはまったく別のもの)の連携データは出力できますが、この方法はおすすめしません。
私は税理士指導で税理士さんと一緒にやったことがありますが、はっきり言って玄人向けです。Webサイトのe-Taxでは、初心者にわかりやすい画面になっているのに対し、インストール型のe-Taxソフトはとにかく面倒で難しく、毎年確定申告をしている人でも間違う可能性が高いです。
e-Taxで申告したい人は、会計ソフトで決算書類を印刷し、それを見ながらe-Taxのサイトで入力していく方法が一番安全です。ただ、一人きりで事業を営んでいる方なら、譲渡所得や損失申告の機会がそもそもないという方が多いと思います。
どんな人におすすめ?

- 請求書の発行もしたい
- できるだけ入力を楽にしたい
- アップデートの時間を取られたくない
- 経理初心者でもわかりやすい画面がいい
- 簿記の知識が多少ある
上記のような方に、おすすめの会計ソフトです。
1ヵ月のお試しサービスもあります。実際に使ってみて、有料プランに移行できるので安心です。自動連携だけでもしておけば「いざ、確定申告しないといけない!」と焦ったときでも、少し心に余裕を持って準備ができるはずです。
クラウド型会計ソフトはいくつかありますが、どれも無料でお試しができるので、いろいろ使ってみて自分に合ったものを選ぶ、という方法もよいと思います。