確定申告書の第二表に「所得の内訳」という欄があります。
この内訳の書き方がわからなくて、本当に苦労しました。特定口座の源泉徴収ありを選んでいる人は確定申告しないでしょうから、そういう事例の情報がなくて困りました。
代表的な書き方の例をまとめてみましたので、参考になれば幸いです。
給料をもらっている人
会社で給料をもらっている人は、源泉徴収票の「支払金額」と「源泉徴収税額」の金額を転記します。なお、複数の会社から給料をもらっている場合は、1行ごとに分けて書きます。
事業所得がある人
事業所得は「営業等」「農業」に分類されます。クライアントから報酬として金額を受け取っている場合は、クライアント別に記入します。支払調書があれば、それを参考に入力しましょう。
源泉徴収されていない事業所得は記入しなくてOKです。白色申告なら収支内訳書、青色申告なら所得税青色申告決算書を添付すれば大丈夫です。
配当の受け取りや株売買をした人
配当は総合課税を選んだときの書き方です。
分離課税を選んだときは「所得の種類」に配当と書き、配当という文字を丸で囲みます。課税所得が695万円以下の方ですと、総合課税の方が税率が低めでお得といわれています。特定口座の利子や配当は「利子・配当」とまとめて記載しても可です。
特定口座を選んでいるときは、特定口座年間取引報告書を参考に入力してください。所得税の源泉徴収税額欄は上、配当の源泉徴収税額は下にあります。紛らわしいので、間違えないように気をつけましょう。
◆株の譲渡益=「譲渡に係る年間取引損益及び源泉徴収税額等」の欄
- 収入金額 ……譲渡の対価の額(収入金額)
- 源泉徴収税額……源泉徴収税額(所得税)
◆配当=「配当等の額及び源泉徴収税額等」の欄
- 収入金額 ……「配当等の額」の合計欄
- 源泉徴収税額……源泉徴収税額(所得税)
源泉徴収されているとき、所得税だけでなく住民税も源泉徴収されています。下記の住民税欄に入力項目がありますので、「株式等譲渡所得割額(住民税)」や「配当割額(住民税)」に金額がある方はこちらも入力しておきましょう。所得税の還付とは別に、役所から6月ごろ還付の通知が届きます。
「特定口座の源泉徴収あり」を選んでいる人は確定申告は不要ですが、所得税を払わなくてもいいほど所得が少ない場合、申請すれば源泉徴収されていた金額が返ってきます。
株の売買で得た譲渡益は、「確定申告書(分離課税用)の第三票」と「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」もあわせて記入するのを忘れずに。
雑収入がある人
公的年金は「国民年金」「厚生年金」「共済年金」の3つがあります。
これら以外の年金をもらっている場合、「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得・譲渡所得、一時所得の関する事項」にも記入が必要です。青で囲んだものは公的年金に分類されるため、所得の内訳だけ記入しましょう。
所得の内訳に書ききれない場合は?
同じ種類の所得が多くあるなどで書ききれない場合は、別紙の「所得の内訳書」を利用しましょう。そのほか、国税庁のホームページの記載例では、欄を手書きで分割して記入している方法もありました。
源泉徴収されていない金額も記入するべき?
ネット界隈では「源泉徴収の有無にかかわらず、所得の内訳はすべて記入しておくべき」と仰っている方が多いように見受けられました。確かに、源泉徴収されていない項目は、源泉徴収税額を0とすればいいだけですしね。
ただ、私は源泉徴収されていない金額は省略し、収支内訳書を添付しましたが、何事もなく還付金を受け取りました。推測ですが、源泉徴収税額の集計をする箇所ですので、源泉徴収された項目だけ記入しておけば問題ないのかな……と。
念のため調べてみたのですが、国税庁の「確定申告書作成コーナー」の事業所得を入力する欄に、以下のような記述がありました。
源泉徴収されている収入金額(給与及び雑所得に係るものを除く。)がある場合は、支払調書等を基に次の項目を入力してください。
ということは「給与所得や雑所得以外であれば、源泉徴収されていない金額は書かなくてもよい」とも読み取れます。
ランサーズやクラウドワークスのタスクをはじめ、プロジェクト形式でもクライアントの正式名称が不明な案件は数えきれません。そういった明細を全部書くのは現実的じゃないですし、給料と雑収入以外は、源泉徴収されていない分については省略してもよさそうです。